住宅営業の皆さんは不動産業者さんにどんな印象をお持ちでしょうか?
土地なしのお客様へ、土地情報を紹介するために情報をもらう、
自社で土地を購入するために造成の計画を教えてもらう、
業務上でやりとりをするのはこの2点が多いと思います。
展示場営業がメインだったり、不動産屋さんを介さずに、
直接地主さんにあたる方が安値で土地を購入できる可能性が高いと
いう考え方の方は、あまり不動産業者さんと接点が無いかもしれません。
特にインターネット全盛の今は、不動産業者さんに直接行かなくても
業者さんのホームページを見れば販売中の土地は見られます。
不動産屋さんに直接訪問すること自体がかなり減ってきているかもしれません。
ただ、住宅営業の仕事をされている皆さんには、付き合い方次第で大きな武器に
なることをお伝えしておきます。
都会でも地方でも、人間関係や信頼関係を大切にされる不動産業者さんは
一定数おられます。都会の方がどちらかといえばドライな方も多い印象ですが、
それでも人間心理として、良い情報は仲の良い人に先に渡したいと思うのが普通です。
良い情報を優先してもらうためにはどうしたらいいのか、
それは不動産屋さんにとって「仲の良い人」になることです。
ここでいう「仲の良い」とは、何も友達関係や親友になれというだけではありません。
私にも優先的に情報をもらえる不動産屋さんはおられますが、
友達みたいな関係ではなく、ビジネスパートナーとして信頼関係があるという方が
しっくりきます。
ビジネスパートナーとして信頼関係があるかどうか、
これはイコール不動産屋さんの役に立てる存在になれるかどうかです。
住宅営業の皆さんは不動産屋さんの役にたっていますか?
不動産屋さんの役に立つには、一番は売り物件を決めてくることです。
売り物件といっても、どの物件でもという事ではありません。
その不動産屋さんが自社で売りに出している物件、もしくは、
専任で受けている物件を住宅営業の皆さんのお客様に紹介し、
売却を決める事です。不動産屋さんが自社で出している物件、
例えば建築条件無しで販売している自社分譲地等です。
多くの不動産屋さんは、自社で分譲地を開発する際に銀行から借り入れを
行い、土地購入代金や造成費用に充てます。売れるスピードが遅いと、
その分銀行金利はかかりますし、他の物件を買いたくても次の銀行融資が受けられません。
自社物件を売ってくれる人はとても重宝されます。一度販売をすれば、
その後計画する分譲地情報は必ずあなたに優先的に届くはずです。
社内であなただけがそんな不動産屋さんと何人も知り合いになれれば、
社内でも一目置かれる存在になるはずです。
もう一つの、専任で受けている物件情報を売るという事ですが、
売主さんから専任で受けている物件は、どこのだれに売ってもらっても、
必ず売主さんからの仲介手数料が入ります。例えば売却価格が2000万円の土地の
売買が決まった場合、2000万円×3%+6万円×消費税=726,000円は不動産屋さんに
仲介手数料として売主さんから支払われます。問題は買い側の不動産屋さんが誰なのかです。
例えば買いの不動産屋さんが、売りの不動産屋さんと違う場合、買い側の仲介手数料
(買主さんが支払ます)は買いの仲介をした不動産屋さんに入ります。
俗に言う片手取引ですね。もちろん不動産取引には片手仲介はとても一般的です。
ただ、、、住宅営業の皆さんは不動産業が本業ではありません。
逆に言えば売りの不動産屋さんや買いの不動産屋さんが誰でも、
あなたの業績には関係ありませんし、買われるお客様が支払う手数料の金額も
変わりません。もちろん買いの不動産屋さんに恩を売れるので、
仲の良い不動産屋さんに、仲介で入ってもらうのも一つの方法ですが、
不動産屋さんからすると、両手仲介(どちらの手数料ももらえる)は非常にありがたいので、
住宅営業の皆さんは出来るだけ両手仲介の取引になるように、
土地を紹介する際は出来る限り専任か専属専任で情報が出ている物件情報を、
その不動産屋さんからの紹介でお客様にすすめましょう。
一度でも両手仲介を出してくれた営業には、不動産屋さんの対応がかなり違います、
情報を出す前に事前に教えてくれることも増えると思います。
不動産屋さんからすれば、両手仲介が取れて、あなたに紹介すれば決まる可能性が高いと
思ってくれるので、おのずと優先的に情報を出したくなるのです。
チラシ作成も最低限ですみ、ネットに載せる手間も無く、レインズの登録だけで両手仲介が
取れれば、不動産屋さんとしては願ったり叶ったりなのです。
不動産屋さんと「仲の良い人」になるための条件は上記の内容を繰り返すことで、
簡単に言うと「楽に」、「儲けさせてくれる」営業になることです。
逆に絶対にやってはいけない事として
〇儲けさせてくれない営業
→自分のお客様のためを思い、仲介手数料の値引きを要求する
〇楽に決めてくれない
→決定意思が弱い段階で買付証明を持ってくる(買付後キャンセルが多い)
この二つの事をしていると、不動産屋さんはあなたの味方はしてくれません。
あくまで「決めてくれればラッキー、優先席に情報を出す気にならない」
という存在になります。不動産屋さんは情報ビジネスの側面が強く、
情報を出すことに対して報酬(仲介手数料)を得る事業です。
いかなる理由があっても手数料の値引きをお願いする事は最終手段と考えましょう。
また、買付証明も法的な拘束力はありませんが、買付を出すことによって
不動産屋さんも販売活動を止めなくてはなりません。万が一販売機会が失われたことに
よって取引が出来なくなったときに、不動産屋さんにとって損失が出る事は
絶対に忘れてはいけません。とはいえお客様の意思次第で契約にならないこともあります。
そんな時は電話で報告するのではなく、菓子折りをもって訪問し、しっかり謝罪しましょう。
不動産屋さんもそこまですれば、営業担当を責めたり、その後の関係が悪化することは最小限に
抑えられます。ここまで読んでいただいた方は気づかれているかもしれませんが、
不動産屋さんも人間です。思いやりをもって、相手の立場に立って接すれば、
「仲の良い人」になることは決して難しい事ではありません。
