住宅を販売する立場の人間が言っていいことでは無い気がしますが、
最近の家って高くないですか??
もちろんローコストを謳うメーカーの価格は大きくは変わってないですが、
高品質を謳うハウスメーカーや、地域のパワービルダーの住宅価格は
この10年から15年で大きく金額が跳ね上がっています。
土地代金により総額は変わり、土地代も建物ほどではありませんが、
インフレの影響で値段が上がっています。
マンションではなく住宅が建つエリア(都心からのベッドタウンや、
地方都市の市街地)の土地代金も、例外なく上がっています。
感覚の部分ですが、15年前で総額4000万円で提案できたものが、
現在は5500万円~6000万円ぐらいでしょうか。
自販機のジュースも100円→150円に、私が大好きなきのこの山(チョコレート)も
150円→200円ぐらい(しかも量が減っている)ことを考えると、住宅価格だけが
上がっているという事ではないので、ある程度やむを得ない部分があるんでしょうが、
問題は家を建てる世代のお給料(所得)が、15年前の1.5倍になっていないことです。
「私は頑張っているし、昇進もみんなより早いから上がったよ」
「自営業でがんがん働いているので1.5倍になっているよ」
中にはそんな人もいると思いますが、かなり少数だと思います。
でも家を建てる人のほとんどは、私も含めて、そんな少数の人以外の人々です。
今日はそんな、ごくごく一般的なご家族が、家を建てようとなったときに組むローンの
話を書きたいと思います。
「残価設定型住宅ローン」なんか車なら聞いたことあるけど。
そんな人が多いと思います。今この残価設定型ローンを、国がバックアップしようと
し始めています。国策となると、メーカーや工務店は
「国が後押しするような政策ですよ!」とか、
「残価設定は国もすすめているローンの方法です」
なんて説明を始めます。50年の超長期ローンを勧めた方が、
返済額が少なくなるので、購買意欲を高められます。
ここで皆さんに考えてほしいのは、「なぜ残価設定ローンを後押しするの?」
です。わざわざ新しいローンの形式を作らなくても、
既存の住宅ローンだってそこそこ長期(大体が40年まで)で組めるし、
金利だって安い(現行の残価設定ローンと比べると普通に変動金利の方が安い)、
何も新たに新しいものを作る必要なんてないのです。
政府は物価高の影響で~~~とか、選択肢を広く~~~とか、
無理くり理由を作っていますが、端的に言うと、、、
「住宅が建たないと経済回らなくて困るけど、
住宅を建てる年代の給料が上がらないから、
とりま支払いが少なければ家建つっしょ!一旦支払いの金額少なくするから、
家建てて経済まわしてよ~~。よろしく~~。
万が一金融機関に影響が出ちゃだめなので、保険制度も新しくするね~、
金融機関は大丈夫だから安心して貸し出して~~!」
こう考えたときに、誰が一番得をして、誰が一番損をすると思いますか?
政府→着工件数が落ちない→経済が回る→失業率も上がらない
銀行→政府がバックアップ(保証)してくれるなら→金利収入アップ
建築主→現行の住宅ローンよりも支払金利増加
政府と銀行は全く損をしません。なぜならば政府がお金を出すわけではなく、
現行のローンだと希望が通らない若い世帯の方に、お金をたくさん借りさせて、
そのお金で経済をまわそうとしているのです。
あくまで私の考え方ですが、正直若年層を馬鹿にしているのか?
政府関係者の方は民間の一般人が喜んでこのローンを使うと思っているのか?
全く共感できません。
残価設定ローン=年数を延ばして、本来借り入れが難しい金額を借りられる
残価設定ローン=土地代金の割合が高い都市部は有利だが、割合の低いエリアは意味が無い
残価設定ローン=残価設定している部分の金利はずっと払い続ける
残価設定ローン=残価部分のローン元本は減らないため、金利負担が高くなる
残価設定ローン=残価が残っている状態なので、残金を払わないと自分の資産にならない
一言で言います。メリットよりデメリットの方が多いです。
もちろん、ある程度高齢の方が、資産を残したくない、
年齢的な関係で高額のローンが組めないが、残価設定ならば希望が通るなど、
一切のメリットが無いわけではありません。一部の方にとっては良い制度です。
ただ、「物価高の為の政策=住宅を買う現役世代にとって良い制度」ではありません。
特に、予算を増やして何とか建築をして欲しいというメーカー側の思惑を感じたら、
よくよく考えてローンを選んでください。
前述しましたが、現行のローンでもある程度長期(40年)、
金利負担も残価設定に比べると少ないです。そもそも残価を設定する年数には、
(50年ローンを組んで都市部で20年~30年、都市部以外で30年~40年目ぐらい)
土地代金の割合が高い都市部では早く、土地代金の割合が低い都市部以外では遅くなります。
理由は残価の根拠が最低限これ以下の金額にはならないという金融機関の判断が
基準になるためです。前述しましたが金融機関が損をする可能性があるような計画は
絶対にしません。言い方は悪いですが、金融機関はとりっぱぐれが無いように商品設計を
行います。ローンの支払いを開始した後、20年~30年も経てば、
わざわざ残価設定を使わなくても中古として売りに出して住み替えてもいいですし、
リースバックを使って住み続けるという選択肢もあります。
ここからは住宅の営業の方に書きますが、残価設定住宅ローンを適切に提案してください。
残価設定に興味を持たれるお客様の8割~9割が、そもそも残価設定金額の条件を考えず、
支払金額が少なくて済む、最悪買い取ってもらえる、という認識の方も多く、
しっかり説明すれば、特に若年層のお客様(30代~40代)にはメリットが無いと
分かるはずです。政府が何と言おうが、銀行が何と言おうが、お客様にとって
最良の計画でご提案を行ってください。
